【退職金制度】退職金の支払いは義務じゃないって知ってた?

退職金 制度

 

1. 退職金制度の仕組み

退職金とは、会社は退職従業員に対する金銭等のことを指しているのですが、会社ごとに制度や金額が異なってきます。1000万円受け取れると認識していたのに、実は500万円だったということにならないように、退職する前にしっかりと確認していきましょう。

1-1. 退職金制度とは?

退職金の支給方法には2種類あります。

 退職金の支給方法

『退職一時金制度』:退職時に一回限りで金銭等を支給する

『退職年金制度』:定期的に一定の金額を支給する

退職金が支給されるのは、定年で退職する時に限らず、自己都合退職、解雇、死亡などの場合もあります。支給されるものは一般的には金銭にはなりますが、土地や建物等の資産で現物支給する場合もあります。

会社規定、就業規則、人事部等に確認することで、ご自身が勤められている会社がどのような制度を設けているかを把握することは可能です。

 

1-2. 退職金の支払義務

実はあまり知られていないことですが、会社には退職金を支払う義務はありません。会社の就業規則には、退職に関する事項を定めてはいるものの、退職金の支払いを定めるかどうかは会社の任意になっています。

退職金について定めている場合は、退職金の支払い義務が生じ、支払われないということはないのですが、退職金について定めていない場合は、支払い義務がないので、ご自身が勤めている会社の規定がどうなっているのかは確認された方が良いかと思います。

 

2. 退職金の相場

次に退職金制度の相場について解説をしていきます。下記数字は厚生労働省のHPより引用しております。

2-1. 【勤続年数別】退職金の相場

万円 大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
勤続20~24年 ¥1,267 ¥525 ¥421
勤続25~29年 ¥1,395 ¥745 ¥610
勤続30~34年 ¥1,794 ¥928 ¥814
勤続35年~ ¥2,173 ¥1,954 ¥1,629

(勤続年数20年以上かつ45歳以上の定年退職者 厚生労働省HP(2018年)より)

2-2. 【会社規模別】退職金の相場

企業規模
大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
退職一時金制度
のみ
退職年金制度
のみ
両制度あり 退職一時金制度
のみ
退職年金制度
のみ
両制度あり 退職一時金制度
のみ
退職年金制度
のみ
両制度あり
1,000人~ ¥1,764 ¥2,256 ¥2,525 ¥1,645 ¥1,942 ¥2,286 ¥1,243 ¥1,351 ¥1,733
300人~999人 ¥1,338 ¥1,699 ¥2,074 ¥1,013 ¥1,316 ¥1,978 ¥809 ¥1,041 ¥1,348
100人~299人 ¥1,147 ¥1,122 ¥1,636 ¥871 ¥1,396 ¥1,447 ¥721 ¥676 ¥1,532
30人~99人 ¥919 ¥1,155 ¥2,343 ¥786 ¥755 ¥1,713 ¥527 - -

(勤続年数20年以上かつ45歳以上の定年退職者 厚生労働省HP(2013年)より)

2-3. 【退職理由別】退職金の相場

退職理由
大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
退職金(万円) 退職時月収(万円) 退職金(万円) 退職時月収(万円) 退職金(万円) 退職時月収(万円)
定年 ¥1,983 ¥51.3 ¥1,618 ¥39.8 ¥1,159 ¥32.0
会社都合 ¥2,156 ¥61.1 ¥1,969 ¥49.9 ¥1,118 ¥33.1
自己都合 ¥1,519 ¥51.3 ¥1,079 ¥36.3 ¥686 ¥28.7
早期優遇 ¥2,326 ¥53.6 ¥2,094 ¥41.2 ¥1,459 ¥30.1

(勤続年数20年以上かつ45歳以上の定年退職者 厚生労働省HP(2013年)より)

 

退職理由によっては支給される金額が大きく変わるので、退職するにしてもどの理由で退職するかは大きな問題かと思います。そのため、それぞれの退職理由の定義について解説をしていきます。

『定年』

一般的には60歳時点で退職すること。2013年に法改正されたことで、65歳で定年退職になる会社も出てきました。

 

『会社都合』

経営破綻、リストラ、労働契約の解除、勤務地移転に伴い通勤が困難になった、ハラスメント被害を受けたなどの理由により退職すること。ただし、懲戒処分など問題を起こした場合は、自己都合退職となります。

 

『自己都合』

 転居・結婚・介護・病気・療養・転職などの理由により退職すること。 

 

『早期優遇』

 退職推奨、希望退職など会社から退職を促され、退職金の上乗せなど特別な条件が含まれていること。

2-5. 正確な退職金額を知るには?

退職金の相場や平均額は前述している額で把握することは可能ですが、正確な金額を知りたい場合は、ご自身が勤めている会社の会社規定、就業規則などを確認する。もしくは、人事部に確認することをおススメします。

お金関連ですと、経理部だと認識しがちですが、退職金については人事部が管轄することになっております。中小企業の場合ですと、総務部などで管理されている場合もあるので、ご自身の会社にご確認ください。

 

3. 退職金の種類

次は退職金の種類について解説をしていきます。退職金の制度には大きく4つの種類が存在し、それぞれで内容も異なってきます。どの制度を採用しているかはご自身がお勤めになっている会社で異なりますので、気になる方はご自身の会社にご確認ください。 

3-1. 退職一時金制度

退職時に一括で支払う制度になっております。これは、従業員が自分自身で退職金を積み立てる訳ではなく、会社負担で積み立てていく制度になります。また、退職一時金制度にも3種類存在しており、それぞれで計算式も異なってきます。

『定額制』

給与に関わらず、勤続年数に応じて定額を支給する制度

 

『給与比例制』

給与に勤続年数などに応じた支給率をかけて金額を算出する制度

 

『ポイント制』

勤続年数、職能、役職、保有資格などをポイント化し、そのポイントに応じて支給額を算出する制度

支給内容は、会社規定や就業規則などで定められておりますし、会社の経営状態で内容が変更することもありますので、気になる方は一度確認された方が良いかと思います。会社が倒産した場合は、退職金が支払われないという場合もあります。

 

3-2. 確定給付企業年金制度(DB)

従業員が受け取る給付額があらかじめ決まっている退職金制度であり、最もポピュラーな制度です。

退職一時金の場合、事前積立の義務がないため、会社は倒産した場合は、退職金が支払われないケースもありますが、確定給付企業年金制度(DB)の場合、松月の給料と合わせて退職金用の掛け金を人件費として織り込んでいるため、計画的な積立が行われています。

予め退職金額を決めておき、毎月決まった掛け金を拠出して運用されているのですが、仮に運用結果が悪かったとしても、不足分は会社が穴埋めする内容になっています。

退職金 制度 DB

掛け金の運用は、ご自身が所属する会社で行われてはおらず、保険会社や信託会社などに外注されております。なお、会社には掛け金の納付状況、資産運用状況、財務状況を加入者(従業員)へ情報開示する義務があります。

 

3-3. 小規模企業共済

これは会社に所属する従業員向けではなく、個人事業主、会社経営者向けの制度です。自分自身で掛け金を積み立てていき、廃業時に退職金として受け取る内容となっております。

小規模企業共済の最大のメリットは、掛け金は全額経費計上できるということです。本来ならば、会社や個人の銀行口座から何かしらの支払いが発生した場合に経費できるのですが、支払いが発生せずとも経費計上できることは大きなメリットとなります。

イメージとしては、普通預金口座から定期預金口座に入れ替えるだけで、全額経費計上できるといった感じです。なお、掛け金にも制限があり、1,000円/月~70,000円/月の幅で500円単位で自由に設定できます。

 

3-4. 企業型確定拠出年金(DC)

主に外資系などにお勤めの方で多いイメージがありますが、企業型確定拠出年金(DC)を採用されている会社も多いです。確定給付企業年金制度(DB)と同様に掛け金は会社が負担していますが、退職金の支給額はは運用結果により変動します。

また、運用方法は会社がいくつか商品を準備し、その中から自分自身で選択することになります。そのため、その運用商品の選択内容によっては、掛け金よりもマイナスになる可能性もありますので、十分に吟味して選択する必要があります。

退職金 制度 DC

 

企業型確定拠出年金(DC)の商品選択の方法は以下の2種類があります。

『元本保証型』

元本割れのリスクが少ない反面、資産は大きく増えない。

例)定期預金、保険

 

『価格変動型』

元本保証はないが、運用結果次第で、資産は大きく増える。

例)投資信託

 

投資信託は種類が数多く存在します。国内株式、海外株式、REIT、国内債券、海外債券などです。債券を選択した方がリスクとリターンは低く、株式を選択した方がリスクとリターンは高いので、ご自身の希望に合わせて、選択することをおススメします。

また、運用方法には、インデックス運用とアクティブ運用が存在します。

『インデックス運用』

TOPIX、S&P500、日経平均などベンチマークに連動した値動きを目指す運用方法。王道の手法と言える。

 

『アクティブ運用』

TOPIX、S&P500、日経平均などベンチマーク以上の値動きを目指す運用方法。リスクとリターンは増える。 

また、投資信託には信託報酬というコストが毎年かかってきます。運用商品ごとでその信託報酬コストも変動しますので、そのコストまで含めて検討する必要があります。一般的には0.5%/年を基準として、上か下かで見る方が多いです。

 

4. 退職金って税金かかるの?

次は退職金にかかってくる税金の解説をしていきます。退職金ももちろん税金はかかりますので、しっかりと確認をしていきましょう。

  「一時金」で受け取る場合 「年金」で受け取る場合
所得の種類 退職所得 雑所得
課税方法 申告分離課税 総合課税
確定申告 勤務先で手続きをすれば不要 一定要件を満たせば不要

受け取り方は『一時金』か『年金』かの2種類存在します。『一時金』は一括で受け取る場合を指しており、『年金』は分割で受け取る場合を指しております。一般的には、『一時金』で受け取る方が多いですね。

 

4-1. 退職金を『一時金』で受け取る場合の税金

退職金を『一時金』で受け取る場合は、退職所得として課税されますが、課税額が大きくなりすぎないように、退職所得控除が適用され、税負担が軽くなるように設定されております。勤続年数が長ければ長いほど控除額は増えていきます。

具体的な計算は、下記サイトで行えます。

keisan.casio.jp

 

4-2. 退職金を『年金』で受け取る場合の税金

退職金を『年金』 で受け取る場合は、他の公的年金と合算して雑所得として課税されます。

  公的年金等の収入 公的年金等に係る雑所得の金額
65歳未満
70万円以下 0円
70万円超~130万円未満 収入金額-70万円
130万円以上~410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上~770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円
65歳以上
120万円以下 0円
120万円超~330万円未満 収入金額-120万円
330万円以上~410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上~770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円

 

4-3. 『一時金』と『年金』の税金比較

以下の例の場合、一時金と年金のどちらで受け取った方がメリットがあるかを計算していきます。

【条件】

勤務:38年(23歳~60歳)

定年:60歳

退職金:2000万円(一時金➡60歳で一括受け取り、年金➡60歳から10年受け取り)

年金受給:18万円/月(年間:216万円 受給開始:65歳 それまでは無収入)

 

■『一時金』の場合

退職金(2000万円)-退職控除(2060万円)=2000万円(手取り)

 

■『年金』の場合

①60歳~64歳(5年間)

雑所得:0円

 

②65歳~66歳(5年間)

雑所得:200万円ー120万円=80万円

80万円×15%(所得税:5%、住民税:10%)=12万円

5年分:12万円×5年=60万円

 

以上の場合ですと、一時金で受け取った方が税金は安いですが、勤続年数で『一時金』の場合の税金は変わります。また、一般的には『年金』を選択された方が、退職金額も増える傾向にありますので、あくまで一例となります。

 

5. 退職金のおススメの運用方法

mone--mana.jp

6. 本記事を執筆した人

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