退職金が入ったから、投資信託の営業来たけど、実際どうなの?

退職金 投資信託

 

1. 相談内容

【名前】マネマネ100様

【退職金】2,000万円

【年齢】60歳

【家族構成】妻(60歳)、犬(2匹)

退職金を信託銀行で、投資信託を計画しています。生活防衛資金は別にあり、投資には2000万円を予定しております。銀行からは毎月配当型の投資信託を紹介されました。「リスクを伴います。元本保証は有りません。全て自己責任です。」 以上の点を強調されました。

金融庁の調査で、個人では「約半分の利用者が損失を抱えている」と 調査報告が有りました。 銀行に投資信託の実績を求めましたが、「色々な形態があるので」と 実績報告の提示は有りませんでした。 投資信託の実態はどうなんですか?

 

2. 『マネ×マネ』からの回答

【結論】銀行から投資信託は買ってはいけません

結論からお伝えすると、銀行や大手証券会社から投資信託は買ってはいけません。なぜなら、日本の金融機関が販売する投資信託には高い手数料が内在されており、運用結果もよくないためです。

また、毎月配当型投資信託は一見良さそうに見えますが、実際は運用益から配当されている訳ではなく、元本から配当されています。それについても以下にて解説をしていきます。

 

3. 投資信託

第3章では投資信託の実態について解説をしていきます。

3-1. 投資信託の種類(運用先別)

  株式 債券 不動産投信
(REIT)
その他 複合
国内 国内株式型 国内債券型 国内不動産投信 その他
バランス型
海外 海外株式型 海外債券型 海外不動産投信 その他

投資信託は地域ごとと運用内容ごとに分けられます。国内株式で運用されるものもあれば、海外不動産投資で運用されるものなど種類は様々です。また全ての種類をバランスよく運用するバランス型も存在しています。

 

3-2. 投資信託の種類(運用方法別)

投資信託の運用方法は2種類です。インデックス運用とアクティブ運用の2種類になります。

【インデックス運用】

日経平均株価やTOPIXのような株価指数と同じ値動きをするような運用を目指す投資信託。購入時手数料や信託報酬(毎年の手数料)がアクティブ型と比べて低い。

 

【アクティブ運用】

ファンド・マネージャー(運用のプロ)が銘柄を選択し、売買する運用方法で、日経平均株価やTOPIXのような株価指数よりも高いパフォーマンスを目指す。リスクとリターンはインデックス型と比べて高い。

退職金 投資信託

少し見づらいかもしれませんが、日経平均株価にインデックスとアクティブで運用した場合のイメージが追加されています。

赤色がインデックス運用で、日経平均株価とほぼ同じ動きを取っています。それに対して緑色がアクティブ運用で、日経平均株価よりも高いパフォーマンスを出していることもあれば、低いパフォーマンスを出していることもあります。

投資信託は他の金融商品と比較してリスクを背負っている商品であり、プロでも失敗することは多々存在するため、インデックス運用で行うことがオススメです。

 

3-3. 投資信託の種類(分配方法別)

投資信託は分配方法でも分類されます。

【分配金受取型】

決算の都度、配当を受け取るタイプ。毎月分配型ならば、毎月配当が入ってくる。

 

【分配金再投資型】

決算の都度、配当は受け取らずに再投資するタイプ。

今回の相談者様(マネマネ100様)は、銀行から毎月配当型投資信託の提案を受けているということで、分配金受取型に分類される商品です。また、その運用先や運用方法は相談内容に含まれていないため、割愛致します。

 

3-4. 投資信託の種類(具体例-商品説明)

退職金 投資信託

退職金 投資信託

退職金 投資信託

商品名:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型

運用先:米国株式

運用方法:アクティブ

分配方法:毎月配当

こちらは、2021年9月時点で販売されている投資信託で、SBI証券、岡三オンライン証券、楽天証券、マネックス証券で購入することができます

毎月配当型ですと、運用結果に応じて毎月配当金を受け取ることができるのですが、実際にいくら投資したらいくら配当金を受け取れるのかを確認していきます。

【分配金】300円/1万口
【2,000万円運用した場合(口数)】
2,000万円÷12,788円/1万口(基準価額)=15,639,662口
【2,000万円運用した場合(分配金総額)】
300円/1万口×(15,639,662口÷10,000)=469,189円

分配金は1万口当たりに配当される報酬で、保有口数は投資金額を基準価額で割って計算されます。2,000万円投資をして、毎月468,900円が入ってくるので、2.3%/月の利益率になります。一見良さそうにも見えるのですが、これだけで判断するのはまだ早いです。

 

3-5. 投資信託の種類(具体例-運用結果)

次は、実際に5年間運用して、税金や信託報酬などを全て加味した上で計算をしていきます。下記画像は、前述にて紹介した商品も過去の実績データになります。

期間:2017年1月16日〜2021年8月16日

分配金:0円/口〜300円/1万口

信託報酬:1.727%/年

税金:分配金×20.315%

退職金 投資信託

時期 2017年
1月16日
2月16日 3月16日 4月16日 5月16日 6月16日 7月16日 8月16日 9月16日 10月16日 11月16日 12月16日 2018年
1月16日
2月16日 3月16日 4月16日 5月16日 6月16日 7月16日 8月16日 9月16日 10月16日 11月16日 12月16日 2019年
1月16日
2月16日 3月16日 4月16日 5月16日 6月16日 7月16日 8月16日 9月16日 10月16日 11月16日 12月16日 2020年
1月16日
2月16日 3月16日 4月16日 5月16日 6月16日 7月16日 8月16日 9月16日 10月16日 11月16日 12月16日 2021年
1月16日
2月16日 3月16日 4月16日 5月16日 6月16日 7月16日 8月16日
保有口数 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015 18,934,015
分配金/1万口 ¥100 ¥100 ¥200 ¥0 ¥200 ¥200 ¥200 ¥100 ¥200 ¥200 ¥200 ¥200 ¥200 ¥100 ¥100 ¥100 ¥200 ¥200 ¥200 ¥200 ¥200 ¥100 ¥100 ¥100 ¥0 ¥100 ¥100 ¥200 ¥100 ¥100 ¥100 ¥100 ¥100 ¥100 ¥100 ¥100 ¥200 ¥200 ¥0 ¥0 ¥100 ¥200 ¥200 ¥300 ¥200 ¥200 ¥200 ¥200 ¥200 ¥300 ¥200 ¥300 ¥200 ¥300 ¥300 ¥300
分配金/総額
(税引後)
¥150,876 ¥150,876 ¥301,751 ¥0 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥150,876 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥0 ¥150,876 ¥150,876 ¥301,751 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥150,876 ¥301,751 ¥301,751 ¥0 ¥0 ¥150,876 ¥301,751 ¥301,751 ¥452,627 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥301,751 ¥452,627 ¥301,751 ¥452,627 ¥301,751 ¥452,627 ¥452,627 ¥452,627
基準価額(円/1万口) ¥10,563 ¥10,809 ¥10,831 ¥10,524 ¥10,902 ¥10,889 ¥11,034 ¥10,600 ¥10,793 ¥11,113 ¥11,238 ¥11,191 ¥11,547 ¥10,732 ¥10,852 ¥10,650 ¥10,948 ¥11,241 ¥11,431 ¥10,931 ¥11,240 ¥10,431 ¥10,436 ¥9,279 ¥9,827 ¥10,432 ¥10,736 ¥10,798 ¥10,433 ¥10,465 ¥10,558 ¥9,945 ¥10,365 ¥10,414 ¥10,534 ¥10,996 ¥11,364 ¥11,651 ¥8,600 ¥10,287 ¥10,638 ¥11,306 ¥11,556 ¥11,744 ¥11,139 ¥11,552 ¥11,324 ¥11,576 ¥11,371 ¥11,794 ¥11,439 ¥12,181 ¥11,913 ¥12,249 ¥12,511 ¥12,422
信託報酬 ¥28,783 ¥29,454 ¥29,514 ¥28,677 ¥29,707 ¥29,672 ¥30,067 ¥28,884 ¥29,410 ¥30,282 ¥30,623 ¥30,495 ¥31,465 ¥29,244 ¥29,571 ¥29,020 ¥29,832 ¥30,631 ¥31,149 ¥29,786 ¥30,628 ¥28,424 ¥28,437 ¥25,285 ¥26,778 ¥28,426 ¥29,255 ¥29,424 ¥28,429 ¥28,516 ¥28,770 ¥27,099 ¥28,244 ¥28,377 ¥28,704 ¥29,963 ¥30,966 ¥31,748 ¥23,434 ¥28,031 ¥28,988 ¥30,808 ¥31,489 ¥32,001 ¥30,353 ¥31,478 ¥30,857 ¥31,544 ¥30,985 ¥32,138 ¥31,170 ¥33,192 ¥32,462 ¥33,378 ¥34,091 ¥33,849
税引・信託報酬後/利益 ¥122,092 ¥121,422 ¥272,238 -¥28,677 ¥272,044 ¥272,080 ¥271,685 ¥121,992 ¥272,341 ¥271,469 ¥271,129 ¥271,257 ¥270,287 ¥121,632 ¥121,305 ¥121,855 ¥271,919 ¥271,121 ¥270,603 ¥271,965 ¥271,123 ¥122,452 ¥122,438 ¥125,591 -¥26,778 ¥122,449 ¥121,621 ¥272,328 ¥122,447 ¥122,359 ¥122,106 ¥123,776 ¥122,632 ¥122,498 ¥122,171 ¥120,912 ¥270,785 ¥270,003 -¥23,434 -¥28,031 ¥121,888 ¥270,943 ¥270,262 ¥420,626 ¥271,399 ¥270,273 ¥270,894 ¥270,208 ¥270,766 ¥420,489 ¥270,581 ¥419,435 ¥269,289 ¥419,250 ¥418,536 ¥418,778
税引・信託報酬後/利益
(累計)
¥122,092 ¥243,514 ¥515,752 ¥487,075 ¥759,119 ¥1,031,199 ¥1,302,884 ¥1,424,875 ¥1,697,217 ¥1,968,686 ¥2,239,815 ¥2,511,072 ¥2,781,358 ¥2,902,990 ¥3,024,295 ¥3,146,150 ¥3,418,069 ¥3,689,190 ¥3,959,793 ¥4,231,758 ¥4,502,881 ¥4,625,333 ¥4,747,772 ¥4,873,363 ¥4,846,585 ¥4,969,034 ¥5,090,655 ¥5,362,983 ¥5,485,430 ¥5,607,789 ¥5,729,895 ¥5,853,672 ¥5,976,303 ¥6,098,802 ¥6,220,973 ¥6,341,886 ¥6,612,671 ¥6,882,674 ¥6,859,240 ¥6,831,209 ¥6,953,097 ¥7,224,040 ¥7,494,302 ¥7,914,928 ¥8,186,327 ¥8,456,600 ¥8,727,494 ¥8,997,702 ¥9,268,468 ¥9,688,958 ¥9,959,539 ¥10,378,973 ¥10,648,263 ¥11,067,512 ¥11,486,048 ¥11,904,826

結論から言うと、2017年1月16日に2000万円投資して、2021年8月16日時点では、分配金から税金と信託報酬を差し引いた累計利益で、1190万円となります。年利換算すると、12.75%という高い年利を誇る結果となりました。

そして、投資した2000万円は解約時の保有口数×基準価額で計算され返還されるため、仮に2021年8月16日に解約した場合、18,934,015口×12,422円(1万口)=23,519,833円となり、3,519,833円が元本増えた計算となります。そこに対しても、20.315%の税金が加算されるため、715,054円が税金となり、税引後利益は2,804,779円となります。

ここまで見ると、この投資信託は良い投資信託だ!と思えるかと思います。しかし、ここには初心者が気付かない裏が存在しています。

 

4. 毎月配当型投資信託の知られざる実態

第3章では、毎月配当型投資信託について解説をしましたが、初心者が気付かない裏が存在しているとお伝えしました。第4章ではその裏について解説をしていきます。

4-1. 隠された裏①『配当される度に基本的に元本は減る』

1つ目の裏は『配当される度に基本的に元本は減る』ということです。配当で100円、200円、300円などの配当がされていたと思いますが、その分基準価額から配当の金額分減ることになります。以下の画像をご確認下さい。

退職金 投資信託

2021年6月16日時点での基準価額は12,249円となっており、そこから配当300円を受け取ります。その結果、配当を払いだした金額(配当額以上減ることもある)が基準価額から減るため、11,949円となります。

2021年7月16日時点では基準価額は12,511円となっているため、562円増加したことになり、これは+4.7%/月のパフォーマンスを出したことになります。

 

今回のケースですと、2017年1月16日の基準価額が10,563円で2021年8月16日の基準価額が12,422円となっているため、元本も増えている結果となったため、好印象を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、ここにトリックが隠されています

2017年1月16日~2021年8月16日の合計56カ月の間に払い出された配当の合計額は9,000円になります。9,000円が配当で払い出されるということは、その分基準価額からその金額分が減るということになります。

つまり、10,563円ー9,000円=1,563円が2021年8月16日の基準価額になっていてもおかしくないということです。しかし、結果としては12,422円となっているため、その分運用等により利益が出ていたことになります。

 

つまり、配当分払い出しながら基準価額を維持するためには、その分運用等により資産を増やし続けないといけません。資産を増やし続けられない場合は、基準価額が減少傾向になり、投資したお金(元本)も減っていくことになります。

【隠された裏①】
配当を貰いながら、基準価額を維持するには、その分資産を増やし続けなればいけない。資産を増やせいなかった場合、配当はもらえる一方で元本は減っていくため、結果的に損している可能性もある

 

4-2. 隠された裏②『基準価額を維持できているのは、米国に投資しているから』

退職金 投資信託

この投資信託(アライアンス・バーンスタイン)は米国株式に94%運用しています。米国はS&P500(アメリカ主要500社の平均)を中心に株価が上がり続けているため、高配当で払い出していても、基準価額を維持できています。

しかし、株価が上がり続けていない運用先を選択していた場合は、配当で払い出す分基準価額が下がっていくので、元本も減っていき、結果的に損することになります。

【隠された裏②】
米国株のように株価が上がり続ける運用先を選択していないと、元本は減りづづける。

 

4-3. 隠された裏③『米国に投資するなら、S&P500(ETF)を選択するべき』

この投資信託(アライアンス・バーンスタイン)は米国株式に94%運用しているため、基準価額を維持しつつ、配当をもらうことも実現できていました。しかし、全く同じ仕組みで安い信託報酬で運用できるスキームは存在します。

退職金 投資信託

商品名:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

運用先:S&P500

運用方法:インデックス

信託報酬:0.0938%/年

前述の毎月配当型投資信託では、1.727%の信託報酬が設定されていましたが、SBI・V・S&P500では0.0938%と各段に異なる手数料率になっています。ただ、ETFでは毎月配当はないため、結果的にどちらの方が特になるのか!について最後に確認していきます。

【隠された裏③】
同じ運用先でも信託報酬(手数料)には大きな差が存在する。

 

5. ETF(S&P500)&毎月配当型投資信託(米国)の比較

第3章で確認したように、S&P500のETFに全く同じ金額、期間で投資した場合、どうなるのかを確認していきます。なお、SBI・V・S&P500インデックスファンドでは、2017年1月からの履歴は確認できないため、別のチャート画面で確認していきます。

 

5-1. ETF(S&P500)の運用結果

退職金 投資信託

(参考画像:S&P500のチャート画面)

時期 2017年
1月16日
2017年
12月16日
2018年
12月16日
2019年
12月16日
2020年
12月16日
2021年
8月16日
基準価額 $2,274 $2,693 $2,550 $3,194 $3,721 $4,472
評価額 ¥20,000,000 ¥23,683,053 ¥22,425,468 ¥28,088,998 ¥32,723,595 ¥39,328,115
信託報酬(年) ¥22,215 ¥21,035 ¥26,347 ¥30,695 ¥24,593

税引・信託報酬後

利益

¥23,266,230

結果としては、23,266,230円の利益となりました。

 

5-2. 結論

最後に結論をまとめていきます。

運用期間:2017年1月16日~2021年8月16日

【運用方法①】

商品名:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型

運用先:米国株式

運用方法:アクティブ

分配方法:毎月配当

 

【運用方法②】

商品名:SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

運用先:S&P500

運用方法:インデックス

信託報酬:0.0938%/年

【総収益(税・信託報酬引き後】
運用方法① 14,709,605円(毎月配当+解約金)
運用方法② 23,266,230円(解約金)

 

世の中には多くの商品が存在しておりますが、商品選択を誤れば、その後の資産状況に大きく影響を及ぼすため、じっくりと検討した上で判断していった方が得策かと思います。

 

6. 退職金のおすすめ運用方法

退職金のおすすめの運用方法はこちらにまとめてありますので、お時間ある場合はご確認いただけたらと思います。

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7. 本記事を執筆した人

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8. お問合せ

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