【金融所得課税】岸田内閣で増税!?株式業界はこれからどうなる?

【金融所得課税】岸田内閣で増税!?株式業界はこれからどうなる?

 

1. 岸田内閣の政策

2021年10月4日に岸田文雄総裁(自民党)が第100代内閣総理大臣に任命され、新たな内閣が誕生しました。本記事は、岸田内閣の誕生に伴って、何がどう変わるのか?政策の中身とその影響について解説をしていきます。

1-1. コロナ対策『医療難民ゼロ』

菅内閣の時よりコロナ対策は行われており、本記事を読んでいる方も常々ニュース等で情報収集はされているかと思いますので、簡単に解説をしていきます。岸田内閣が掲げる政策の詳細は以下の通りです。

◾︎コロナ対策の詳細

・臨時医療施設の開設

・大規模宿泊施設の借り上げ

・国公立病院のコロナ重点病院化

・家賃支援給付金や持続化給付金など数十兆円の経済対策

・電子的ワクチン証明の活用

・検査の無料化と拡充

・健康危機管理庁(仮名)の創設

特に目新しさはなく、今までの動きを踏襲した内容となっています。

 

1-2. 経済対策『成長と分配の好循環』

岸田内閣の政策の中で、本政策が最も我々の家計に大きな影響を与えるものとなっています。岸田内閣が掲げる政策の詳細は以下の通りです。

◾︎経済対策の詳細

・子育て世帯の住居費や教育費の支援

・看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士などの賃金UP

・コロナ禍で生活が苦しい方に現金給付

・フリーランスも含め働く全ての人に社会保険を適用

・金融所得課税の増税

・GoTo2.0(Go Toトラベルの再開)

・経済安全保障推進法(仮名)

岸田総裁は『分配無くして、次の成長はない』と強調し、安倍・菅内閣の『アベノミクス』が経済格差を広げたと批判を踏まえて、『格差是正』を打ち出しています。

具体的には、子育て世帯の住居費や教育費の支援、看護師・介護士・幼稚園教諭・保育士などの賃金UP、コロナ禍で生活が苦しい方に現金給付、フリーランスも含めて働く全ての人に社会保険を適用するといった政策が挙げられます。

そして、その財源の確保のために、金融所得課税の増税が挙げられます。金融所得課税の詳細は第2章で解説をしていきます。

また、2020年7月22日〜2021年1月31日まで実施されたGoToトラベルの再開として、GoTo2.0を掲げています。GoToトラベルの時とは異なり、GoTo2.0では、旅行代金の割引や買い物券などの還元率に差をつけ、ワクチン摂取を2度終えた人や新型コロナの陰性証明を提示した人には多く還元する方針としています。

また、経済安全保証推進法(仮名)を創設し、巨額の支援策で関連産業の育成や誘致を進める政策となっています。具体的には、半導体製造の世界大手『台湾積体電路製造(TSMC)』の工場誘致を行うことを画策しています。

 

1-3. 外交・安全保障『毅然とした対応』

外交と安全保証では、国益のために腹をくくり、毅然とした姿勢が必要だと語り、中国の人権問題を担当する首相補佐官を新たに設置する考えを示しています。

 

1-4. 社会保障・子育て支援『厚生年金の適用範囲拡大』

厚生労働省はパート勤務など短時間労働をする人々へ厚生年金の適用を拡大してきた経緯があり、その取り組みは継続して行なっていく姿勢を示しています。厚生年金の適用範囲については、以下の表の通りに変化していく予定ですので、参考にしてみてください。

対象 要件 平成28年10月~(現行) 令和4年10月~(改正) 令和6年10月~(改正)
事業所 事業所の規模 常時500人超 常時100人超 常時50人超
短時間労働者
労働時間 週の所定労働時間が20時間以上 変更なし 変更なし
賃金 月額88,000円以上 変更なし 変更なし
勤務期間 継続して1年以上使用される見込み 継続して2か月を超えて使用される見込み 継続して2か月を超えて使用される見込み
適用除外 学生ではないこと 変更なし 変更なし

また、厚生年金の詳しい解説は以下の記事にてまとめてありますので、お時間ある方はチェックしてみてください。

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1-5.  選択的夫婦別姓/同性婚『慎重な姿勢』

2021年3月に発足した自民党の『選択的夫婦別氏制度を早期の実現する議員連盟』の呼びかけ人には岸田総裁は名は連ねているものの、総裁選に置いては慎重な姿勢を示し、TV番組では、『現状に置いて(同性婚を)認めるまでは至っていません』と語っています。

 

2. 金融所得課税とは?

さて、ここからが本題に入ります。前述の通り、岸田内閣は『分配無くして、次の成長は無い』と語り、介護士や保育士等に対する支援の財源を金融所得課税のUPで行おうとしています。

2-1. 岸田内閣で金融所得課税はどう変わる?

◾︎金融所得課税とは?

株式譲渡益や配当金などで得られた利益に対して、一律20.315%の税金がかかるという内容。【対象商品】株式・公社債の譲渡益、公社債の利子、申告分離課税を選択した株式の配当金・株式投資信託の分配金、公社債投資信託の分配金

【金融所得課税】岸田内閣で増税!?株式業界はこれからどうなる?

2021年10月現在、利益に対する税金は20.315%(所得税:15%、住民税:5%、復興特別所得税:0.315%)かかっています。会社の給与にかかる所得税は金額に応じて変化する累進課税制度が採用されていますが、株式投資等にかかる利益は所得に関係なく、一律で20.315%が課税されます。

個人的な意見としては、この増税には否定的です。また、仕組みをうまく考えないと格差是正には繋がらないと考えています。

安倍・菅内閣のアベノミクスで株価が上昇し、日経平均株価も3万円台に突入しました。アベノミクス前は1万円を切っていたので、アベノミクスで株価を3倍にも上昇させました。

この効果により利益を得られた方は多く存在し、格差拡大に繋がったことは否めないですが、所得に限らずに一律20.315%の税金がかかり、それを増税するということは、年収300万円の人も、年収2000万円の人にも同じように税額を上げるということになります。

主に低所得者層への支援のための財源確保が目的となりますが、その財源となる増税部分を低所得者層からも回収することになるため、高所得者層から低所得者層への再分配にはならないと考えます。累進課税のように利益に対して、税率を変えるなど、仕組みを変えていかないと、批判だけされて失敗に終わると考えます。

 

2-2. 株式市場への影響は?

【金融所得課税】岸田内閣で増税!?株式業界はこれからどうなる?

2021年10月4日に増税のニュースが発表され、株式市場は売りの勢いが強まり、日経平均は30,000円から28,000円と一気に下落していきました。

実際に増税することが辞めることがあれば、逆に買いの勢いが強まり、株価は急上昇することが予想されますが、現時点では現金化する動きが強まっています。

 

2-3. 世界の金融所得課税

日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス シンガポール
税率 20.315% 0%
15%
20%
10%
20%
26.375% 30%
17.2%〜62.2%
0%

国ごとで税金の掛け方は大きく異なります。

★日本

年間利益➡︎20万円超:税率20.315%

★アメリカ

年間利益➡︎39,375ドル(445万円)以下:税率0%

年間利益➡︎39,375ドル(445万円)超:税率15%

年間利益➡︎434,550ドル(4,910万円)超:税率20%

★イギリス

年間利益➡︎34,500ポンド(504万円)以下:税率10%

年間利益➡︎34,500ポンド(504万円)超:税率20%

★ドイツ

年間利益➡︎801ユーロ(10万円)超:税率26.375%

★フランス

分離課税を選択➡︎税率30%

総合課税を選択➡︎税率17.2%〜62.2%

★シンガポール

非課税

 

最近で言うと、オリエンタルラジオの中田敦彦さんがシンガポールに移住したことが大きく取り上げられました。他にも多くの富裕層はシンガポールに移住していますが、これは日本の税金の高さとシンガポールの非課税という違いによるものになります。

2021年10月時点で富裕層は海外移住している流れがありますが、岸田内閣の経済対策で増税することになれば、海外移住をする富裕層はますます増えるかと思います。

 

3. 金融所得課税の増税に対抗する対策

仮に増税するとなれば、株式投資等を行なっている方(私含めて)にとって見たら大打撃になりますので、何かしらの対策を打つ必要があります。その選択肢としては、2021年10月時点では2つの方法がありますので、ご紹介していきます。

3-1. NISA

  NISA 積立NISA
利用できる方 日本にお住まいの20歳以上の方(口座を開設する年の1月1日現在) 日本にお住まいの20歳以上の方(口座を開設する年の1月1日現在)
ただし、
つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択して利用可能
非課税対象 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円が上限(非課税投資枠は最大600万円) 新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)
非課税期間 最長5年間 最長20年間
投資可能期間 2014年~2023年 2018年~2037年

NISAや積立NISAを行なっている方は多くいらっしゃいますが、期間、投資金額には制限が発生してしまいます。ただ、多くの方がご利用されているため、まだ行なっていない方は利用されても良いかと思います。

 

3-2. 変額保険

変額保険という商品に馴染みのない方も多くいらっしゃるかと思います。しかし、積立NISAと同じような運用パフォーマンスを出しながら、税金的にもメリットが出る商品のため、ご紹介しておきます。

変額保険=保険+積立運用

一般的な保険は、入院や手術、特定の病気になった時に保険金を受け取れる商品となっています。また、積立運用は積立NISAを代表とするように、毎月コツコツと一定額を積立ていき、運用益を狙った商品となります。

変額保険は、病気等何もなければ積立金から得られる運用益を得ることができ、病気等が発生した場合は、保険金を得られる商品となっています。一般的な医療保険や積立運用商品では、どちらか一方のメリットしか得られないですが、変額保険は両方得ることが可能となります。

 

また、税金面でもメリットはあります。

前述してきたように、株式投資等の利益には20.315%の税金がかかり、NISAの場合は非課税となります。変額保険の場合ですと、一時所得という扱いになりますので、一時所得の計算式が適用されます。

一時所得の税金=(利益※1ー50万円)÷2×所得税率※2
※1 利益=解約返戻金ー積立金
※2 所得税率=解約時の年収に該当する税率(累進課税)

仮に利益が100万円で所得税率が20%の場合、(100万円ー50万円)÷2×20%=50,000円となり、普通口座で株式投資を行なった場合よりも、約15万円ほど税金のメリットはあります。また、これはいつ解約するかでも所得税率が変わってきます。

仮に定年退職後の年金生活になった時点で解約した場合、所得税率は5%となりますので、(100万円ー50万円)÷2×5%=12,500円となり、ほとんど税金は掛かってきません。積立NISAの場合ですと、税金はゼロ円ですが、保険機能はついていないので、保険機能をつけた変額保険の方がコスパは良いと考えます。

変額保険の詳細は以下の記事にもまとめてありますので、お時間ある時にでもご確認ください。

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4. 増税は一旦無くなりました(21年10月11日更新)

10月4日に増税ニュースが出回り、株式市場はネガティブな反応で株価が急落していきました。その動きを見て、火消しに入ったのか、岸田総理は、『当面は見直ししない』と発言しました。

www3.nhk.or.jp

 

5. 本記事を執筆した人

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