【金融所得課税】岸田総理が目論む『1億円の壁打破』とは?

【金融所得課税】岸田総理が目論む『1億円の壁打破』とは?

 

1. 岸田内閣の政策

何かと話題となり、大きな議論となっている第100代岸田内閣。前回の記事では、岸田内閣の公約と我々の生活に直結する重要な項目について簡単に解説をしました。本記事では、もう少し突っ込んだ話をしていきたいと思います。

■岸田内閣の政策

①コロナ対策『医療難民ゼロ』

②経済対策『成長と分配の循環』

③外交・安全保障『毅然とした対応』

④社会保障・子育て支援『厚生年金の適用範囲拡大』

⑤選択的夫婦別姓・同性婚『慎重な姿勢』

 

本記事は、②の経済対策に関するものですので、その部分のみ抜粋します。

◾︎経済対策の詳細

・子育て世帯の住居費や教育費の支援

・看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士などの賃金UP

・コロナ禍で生活が苦しい方に現金給付

・フリーランスも含め働く全ての人に社会保険を適用

・金融所得課税の増税

・GoTo2.0(Go Toトラベルの再開)

・経済安全保障推進法(仮名)

詳細は、過去の記事でまとめていますので、こちらの記事を参照ください。

mone--mana.jp

 

2. 岸田内閣はなぜ増税するのか?

さて、なぜ岸田内閣は増税するのか?ということですが、前回の記事でも軽く触れていますが、理由としては2つあります。

2-1. 増税する背景①『資産の再分配』

前回の記事でもまとめていますが、岸田総理は『アベノミクス』は格差を拡大させただけだと批判し、成長には再分配が不可欠だとしています。再分配先としては、子育て世帯、介護士、保育士、幼稚園教諭などが名言されていますが、その財源の確保として、金融所得課税の増税が挙げられています。

2-2. 増税する背景②『1億円の壁』の打破

もう1つの背景としては、『1億円の壁の打破』が挙げられます。この部分が、本記事の本題となりますので、しっかりと次の第3章で解説をしていきます。

 

3. 岸田内閣が目論む『1億円の壁』とは?

3-1. 『1億円の壁』とは何か?

1億円の壁とは、1億円を基準として、所得税率の負担率が低くなることを指しています。日本の所得税率は累進課税制度を採用しており、所得が増えるにつれて、税率は増加しています。しかし、1億円を超えると負担率が低くなるというのも実態としてあるのです。

■日本の所得税率

課税所得 税率 控除額
1000円〜1,949,000円 5% 0円
1,959,000円〜3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円〜6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円〜8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円〜17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円〜 45% 4,796,000円

なお、税金は所得税とは別に住民税も加算され、正確な数字は市区町村ごとで異なりますが、約10%になりますので、最高税率は所得税の45%、住民税の10%の合計55%となります。所得が1億円を超えても55%の税率だから、変わらないんじゃ?と考えられますが、実態は異なっています。

 

■日本の納税率

【金融所得課税】岸田総理が目論む『1億円の壁打破』とは?

(令和元年 東京都税制調査会より)

このグラフの推移をみると、1億円までは負担率は上昇しつづけていますが、それ以降は下落傾向にありますよね?なぜこうなるのか?は次のグラフで確認をしていきます。

 

■金融所得が占める割合

【金融所得課税】岸田総理が目論む『1億円の壁打破』とは?

このグラフは、合計所得に占める金融所得(株、利子など)の割合を示しています。これを見ると、1億円を超えたタイミングから株式等の譲渡所得の割合が急上昇しています。

給料や役員報酬として会社からもらうお金には、最高55%の税金がかかってきますが、株主配当などでもらうお金は金額に関わらず、20.315%(厳密には税制控除などの仕組みはありますが、本題から逸れるため割愛します)となり、実に35%の税金の差が生れます。岸田総理はこの差額の35%をなんとか回収したい!と思っている訳ですね。

 

3-2. 富裕層は給料ではなく、株主配当で稼いでいる

実際に、実例を踏まえて、日本の富裕層たちはどこから収入を得ているのかについて具体的な数字を踏まえて、解説をしていきます。なお、以下の数字は簡易的な計算であり、実際の納税額は異なりますので、ご注意下さい。

 

具体例①

名前:豊田章男

会社:トヨタ自動車

役員報酬:4億4,900万円(20年度3月期)

株主配当:10億4,500万円(20年度3月期)

合計:14億9,400万円(20年度3月期)

日本のみならず世界を代表するトヨタ自動車の豊田章男社長の収入は以上の通りとなっています。豊田章男社長はトヨタ自動車の株券を保有しているため、株主配当で10億4,500万円の収入となっています。

実際に役員報酬で同じ金額をもらっている場合、株主配当でもらう場合だと、どの程度税金が変わるのかを計算していきます。

(1)10億4,500万円を役員報酬でもらった場合

所得税:10億4,500万円×45%ー479万円=4億6,546万円
住民税:10億4,500万円×10%=1億450万円
合計:5億6,996万円

 

(2)10億4,500万円を株主配当でもらった場合

10億4,500万円×20.315%=2億1,229万円

同じ10億4,500万円ですが、貰い方が異なるだけで、3億5,767万円の税金の差額が生れています。もう1名、具体例を挙げていきます。

 

具体例②

名前:孫正義

会社:ソフトバンク

役員報酬:2億900万円(20年度3月期)

株主配当:193億3,300万円(20年度3月期)

合計:195億4,200万円(20年度3月期)

金額が大きすぎて現実味がないのですが、先ほどの豊田章男社長と同じように計算をしていきます。

 

(1)193億3,300万円を役員報酬でもらった場合

所得税:193億3,300万円×45%ー479万円=86億9,506万円
住民税:193億3,300万円×10%=19億3,330万円
合計:106億2,836万円

 

(2)193億3,300万円を株主配当でもらった場合

193億3,300万円×20.315%=39億2,749万円

孫社長の場合ですと、67億87万円の税金の差額が生れています。このように、日本の税制の場合ですと、貰い方で大きく税金が異なってくるので、こうした税制の在り方から、富裕層はお金の貰い方を工夫しているというのが事実になります。

 

3-3. 『1億円の壁』を打破の問題点

このような日本の税制があるために格差が生れており、格差是正をしたい!というのが岸田総理です。株主配当も所得税と同じように累進課税にすれば、こうした税率の差は生まれなくなりますが、富裕層だけでなく一般層で株式投資を行っている方々にも打撃を与えることになります。

また、日本には年収1億円を超える人たちは、約2万人いると言われていますが、そうした方にピンポイントで狙い撃ちをすると、ますます富裕層の海外移住が加速するため、日本の競争力低下にもつながりかねません。

 

3-4. 日本は貯金大国 

最後に日本人が保有する金融資産について解説をします。

【金融所得課税】岸田総理が目論む『1億円の壁打破』とは?

(2021年8月20日 日本銀行より)

日本はアメリカやユーロと比較して、圧倒的に現金・預金で資産を保有する割合が多いです。これは、バブル崩壊前の日本の銀行金利が非常に高く、その時の考え方が今もなお根付いていることが原因として挙げられます。

『お金を稼いだら、貯金しましょう!』と両親や祖父母から言われた経験がある方や、ご自身のお子様に対して言ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。今まではそれでもよかったかもしれませんが、その結果日本は30年間対して成長もせずに、苦しい不景気を味わうことになっています。

 

起業するにしても、資産運用するにしてもお金と時間を投資することには変わりません。少なからずリスクや失敗もあるかもしれません。しかし、そうしたリスクを乗り越え、成長してきたのが、アメリカです。

【金融所得課税】岸田総理が目論む『1億円の壁打破』とは?

Google、アップル、Amazon、Instagram、YouTube、NetFlix、Disney、マクドナルド、マスターカード、VISAカードなど、その他多くの世界を代表する企業がアメリカにはあります。私たち日本人もたくさんアメリカのサービスを利用しているかと思います。私もその1人です。

大切なことは、未来を見据え、多くの情報を仕入れ吟味し、リスクを恐れずに行動をすることだと思います。老後2000万円問題、社会保険料アップ、45歳定年、増税など、収入は増えないけど、支出だけが増えて行くのが日本です。しかし、誰も助けてくれません。自らが動かければ未来は絶対に変わりません。

そのため、未来を見据え、多くの情報を仕入れ吟味し、リスクを恐れずに行動することは非常に大切だと思います。逆に言うと、豊田昭男社長は親や祖父から受け継いだ3代目になりますが、孫正義社長は1代で気付きあげているので、本当にすごいですよね。尊敬します。

最後は本題と少しずれてしまいましたが、私の意見を少しだけ書きました。少しでもあなたにとって有益な情報があれば幸いです。

 

4. 本記事を執筆した人

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